Editorial
Dear readers,
デジタル化と情報通信技術( ICTs )の発展で、働く場所に 地理的な制限がなくなり、さまざまなリモートワークのスタ イルが生まれています。そんな現代にあっては、オフィスの ありかたを考えることなどもう無用ではないか、と感じる人
もいるかもしれません。 ―― 答えは NO です。
オフィスの存在はこの時代にあっても、経営者やワーカーにメリットをもたら してくれます。在宅ワークをはじめ、分散型ワークプレイスの普及が逆説的に、 全員が同じ場所をベースに持つことのアドバンテージを浮き彫りにしました。 いかに充実した在宅ワーク環境、あるいは理想的なパーソナルスペースを確 保できたとしても、実際のオフィスで体感する雰囲気、チームスピリット、自 発的なブレインストーミングセッション、対面式コミュニケーションから受け る刺激に代わるものはありません。 今後、これらの要素が、今まで以上に企業や組織のアイデンティティ、革新性、 そして企業成長において、より中心的な役割を担うようになります。オフィス という場所が持つ長所とポテンシャルを活かし、アナログとバーチャルを コラボレートさせ、享受するメリットを最大限にするには、これらの強みを 熟知することが重要です。 数年間におよぶ世界各国のプランナー、クライアント、パートナーとの対話、 そして多数の事例分析から、私たちは現代のオフィスのありかたに対しての 核心的な提言をまとめました。そしてそれを基に、『 Human-centered Workplace 』を製作しました。本書は、新しい働き方にまつわるバズワード を連呼するだけのものとは違い、人が中心( human-centered )のワーク プレイスをつくるための青写真の役割を果たします。本当に大切なものが 何であるかをしっかりと知り、将来を見据えたオフィスソリューションを デザインするための、大きな助けとなるでしょう。 そして、ミュンヘンを拠点とするデザインスタジオ「 1zu33 」とパートナー シップを組み、「インスピレーションあふれる、人に優しいワークプレイス」 というウィルクハーンのビジョンを、イメージ画像とともに一つのストーリー に仕立てあげました。この素晴らしいチームに携わってくださった、すべての 方々に感謝します。私たちはこのブローシャーの中で、人々の憧れを喚起し、 また未来の世界でも生産的であり続けるオフィス環境とは何かを、うまく表 現できたと考えています。しかし、それを決めるのは読者の皆さんです。 human-centered workplace という、新しいコンセプトとそのイメージを、 どうぞお楽しみください。
Dr. Jochen Hahne
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