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て、 絶 え間ない相互作用の中にある 愛 と 憎 し み を 通 して対象がいかに「 知 られる」 かを 詳 細 に 見 ることができる。この理解が 目 的とするのは、 破壊 衝動で 弱 体 化 し た 自我 が、対象の 良 さ、 ひ いては対象の 強 さや 希 望 に満ちた 性質 を 取 り 戻 せるよ うにすることである。 Mi t rani(200 7 )は、 K lein の 仕事 における初 期 の 環境 的 影響 の 役割 が 必ず し も明らかではないことを 指 摘 しながらも、 K lein の論文 「 自我 の発達における 象 徴 形成の重要 性 について」を 引 用している。ここで K lein (1930) はDic k と 彼 女 が呼 ぶ4 歳 の 自 閉 症 の 少 年 との分析から発 見 したことを 提示 し、Dic k の ジ レ ン マ をまとめあ げ る 概念 として「 未 熟 な 自我 発達」( p . 22 7 )という 概念 を導入 した。 彼 女 はこの子供の 早 熟 を 母親へ の「 未 熟 な共 感 」 ( p . 22 7 ) と「 未 熟 で 誇 張 された同一 化 」( p . 223) として 記述 した。 彼 女 はDic k はあまりに 早く開 始さ れた 抑 うつ ポ ジショ ンの 結 果苦 しんでいるという 見 解を 示 した。 言 い 換 えれば、 転移 の中で K leinは Dic k がとても 幼 い 幼 児の身で 母親 の生存に関する 問題 につ いて、その 時 期 に ふ さわし く ない 思 いやりをもっていること を 観 察 し、 推 論し た。 K leinの 著 作では、乳児が 自己 のリ ビド ー的 側面 を 母親 の中に 投影 して、 見当 たらないものを 肉 付け、 母親 を 修復 したりする(すなわち、 未 熟 な 抑 うつ ポ ジシ ョ ンとそれ ほ ど 未 熟 でない 抑 うつ ポ ジショ ンの両方)ことについての 言及 が 無 数 にあり、また、乳児の 良 い対象が 自我 の 核 に 住 まう 必 要 性 に対しての 彼 女 の 強調 も み られる。
良 い対象と 悪 い対象の相互交流についての K lein の 考 えは 彼 女 の論文「 孤独 感 について」の中でと く に 簡潔 に現れている。
彼 女 は 次 のように 述べ る。
「 自我 は 誕 生 時 から存在し、機 能 している。最初はまとまりを大き く 欠 いており分 裂 の メカ ニズム に 支配 されている。 自己 に 向 けられ た 死 の 本能 によって 破壊 される 危険 性 は衝動を 良 いものと 悪 いも のに分 裂 させることに 寄与 する。そして、これらの衝動を原初的対 象の 上 に 投影 するために、その対象もまた 良 いものと 悪 いものに分 裂 される。 結 果 として、最 早期 の 段階 で、 自我 の 良 い 部 分と 良 い対
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