IPA 地域間精神分析百科事典

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元 々の 投影 同一 化 の 本来 のコ ミュ ニ ケ ー ショ ンとしての意 図 が 破壊 され、「発達 の 深刻 な 停止 につながり … 、乳児が 自 らの 強 す ぎ る情緒に対 処 するための主な方 法 を 否 定したせいで、情緒的生活のその 行 為 は、い ず れにしても 深刻 な 問題 とな り、 耐 え 難 いものとなり … 、 過 酷 で 自我- 破壊 的な 超 自我 の機 能 を 行 使 する(内 的)対象が 確立 される」(19 5 9: 10 7 )。 彼 のその 後 の 著 作では、 B ion( 例 えば、19 6 2, 19 6 3)は、この 投影 -取 り入れ 過程 の理論を「コン テイナ ー」と「コン テイ ン ド 」 の 線 に沿って発 展 させており、これらの用語は、 創 造的で生きることを 促 す 側面 と、 破壊 的 側面 の両方における、乳児の 投影 同一 化 と 母親 の 受容 的機 能 の間の相 互交流を 描く ために、 彼 が導入したものである。(コン テイ ン メ ント : コン テイ ナ ー - コン テイ ン ド の 項目 も 参照 )

Ⅲ . C . Fairbairn : 対象関係と 力 動的構造

Ronald Fairbairn(19 5 2)は、20 世 紀半 ばの精神分析を、人間の相互作用の 優 位 性 を 与 えることで、 再 構 築 した。それは 本物 のパ ラ ダ イ ム シフ トに達しており、 その中では、実際の関係的出 来 事 が「衝動の心理 学 」よりも 特 権 を 与 えられてい る(1943: 5 9)。1940 年 代に書かれた一連の論文(パート Ⅰ 、19 5 2を 参照 )で、お そら く 対象関係的 思 考へ の ひ とつの、そして最も 独創 的な 貢 献を構成するものと して、Fairbairn は 古 典 的な欲動理論に代わる、体 系 的で 首尾 一 貫 した代 替 案 を 打 ち出した。 K lein 派 の発 展 は、Fairbairn にとって 非 常 に重要であったが、 特 に始まりから対象が欲動に 組み込 まれているという 考 えが 非 常 に重要であった。 Fairbairn によると、 K lein の内的対象の 概念 に 照 らしての み 、「対象関係の 研究 が精神 病 理 学 に重要な 結 果 をもたらすことができる」のであった(1943: 6 0)。 衝動の 目 的的な 性質 を重要な出発 点 として、Fairbairn は、さらに 2 つの 命 題 を 進 めた。すなわち、( ⅰ ) リ ビド ーの最 終 目 標 は対象である (1941: 31 随所 に)、 ( ⅱ ) エネルギーは構造から 切 り 離 せない (1944: 12 6 )。2つを 併 せて、これらの 基本 的な 命 題 は、「 力 動的構造に 基 づいて構 想 された関係 性 心理 学 」(1944: 12 8 ) を 下 支 えしている。この心理 学 は、 古 典 的なリ ビド ー理論の 基 礎 となる 科 学 的原 理を 再 構 築 するだけでな く 、 イ ギリ ス の精神分析において K lein 派 の発 展 を、 徹 底 的に関係 性 を重 視 するという 目 標 に 向 かうように、方 向 づけし 直 すものでもあ った。こうして、Fairbairn は、 次 の3つの関連する 軸 に沿って、対象関係の最

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