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初の 首尾 一 貫 した理論 モデ ルを構 築 した。( ⅰ )情緒発達の 独 自 の理論。( ⅱ )精神 の構造 化 の 新 たな理論。( ⅲ )精神 病 および精神神経 症 の 改訂 された精神 病 理 学 。
1. Fairbairnは、対象との関わり 合 い(ob j ec t- rela t edness)の様式と 性質 によ って 特 徴 づけられる発達の 過程 を仮定している。発達の 図 式は、成 熟 度 の関係的 な 基準 という 観点 から 設 定され、3つの 段階 で構成される。( ⅰ )乳児的 依 存 段階 、 主に「とる( t a k ing)」という 態度 によって 特 徴 づけられており( 口 愛期 に相 当 し)、 それはさらに 細 分 化 されて、 前-ア ン ビバ レ ントな「 前期 口 愛 」 段階 ( 合 体する、 吸 う、あるいは 拒 む )と、 ア ン ビバ レ ントな「 後期 口 愛 」 段階 ( 合 体する、 吸 う、 あるいは 噛 む )。( ⅱ ) 移 行段階 、それは Abraham(1924)の 2 つの「 肛門 段階 」お よび「 早期性 器 ( 男 根 ) 段階 」に対 応 している。( ⅲ )成 熟 した 依 存 段階 、主に「 与 える(gi v ing)」という 態度 によって 特 徴 づけられ、そこでは「 受 け入れられた」 り、「 拒 絶 された」対象が外在 化 される(1941: 39)。 2. Fairbairnの1944 年 の「精神内構造」についての論文は、発達 図 式に 基 づ く 構造 化 の理論を 詳 し く 説明している。乳児と実際の 母親 との現実的な関係は、「満 足できる」ものか、「満足できない」ものとして 特 徴 づけられる。満足するかど うかの 基準 は、欲動の満足ではな く 、接触の欲求に 基 づいている。そうしたもの として、 母親 の満足のい く側面 は、 本来 、 単 一の 自我 (「中 核自我 」)による 絶 対 的 依 存の 段階 で経験される。一方、満足のできないこととは、 避 けられない欲求 不 満の経験を 指 し、そして 自我 の分 裂 は 常 に人間の存在 自 体がもつ ジレ ン マ に関 係しているように 思 われる : 「ある 程度 の 自我 の分 裂 は、 常 に最も 深 い心的 レ ベ ルに存在している」(1940: 8 )。 少 な く とも、 ス キゾ イ ド ・ ポ ジショ ンとして、 基本 的な精神の ポ ジショ ンを仮定しているとこ ろ は、 K leinから 借 用しているこ とが明 白 である。ただし、Fairbairn(1944: 8 1)は 以下 のように 指 摘 している : 「心的 装 置についての Freud の理論は … 、 抑 うつ ポ ジショ ンに 基 づいて発 展 さ せており、そして Melanie K lein も同様の 基 礎 に 基 づいて 彼 女 の 見 解を 展開 さ せている。対 照 的に、 私 が現在 進 めている心的構造の理論の 基 礎 を構成している のは、 ス キゾ イ ド ・ ポ ジショ ンである」。 Fairbairn はこのように 述べ ている。「子どもが 次 のような 状 況 になるのが、 情緒的欲求 不 満の 状 況 である。(a) 自 分は、 母親 から一人の人間として 本当 には 愛 されていない。(b) 母親へ の 自 分の 愛 は、 本当 には 価 値 を認めてもらえていな
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