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の関係 性 の 研究 に 帰 着 すると 言 うことができそうであるが、一方で同様の 言葉 を 使 うと、精神 病 理 学 は、より 特異 的に、 自我 と 自我 に内在 化 された対象との関係 性 の 研究 に、 帰 着 すると 言 えそうである」(1943: 6 0; 1941も 参照 )。 繰 り 返 し になるが、 古 典 理論とは 別 のものになっていることは、 以下 の 事 実から明らかで ある。つまり、対象関係の 観点 は、 古 典 理論で定義されているように、衝動から 空想 を経て、 葛藤 と 抑圧 に 至 る 軌跡 に沿って 進む ということではな く 、 む し ろ 別 の 新 しい 順 序と 葛藤 の 源泉 を導入するという 事 実から明らかである。成 熟 の 過程 自 体が、 核 となる 葛藤 を構成しており、そこでは成 熟 へ と 向 かう 発達的 傾向 と、 幼 児的な 依 存 へ の 執 着 における 退行 的 傾向 とが対 峙 する(1941: 3 8 )。 古 典 理論 の精神 病 理 学モデ ルは、リ ビド ー発達の様々な 段階 へ の 退行 という 考 えに 基 づい ているのに対して、Fairbairn は、その代わりに成 熟 過程 で 展開 される 防衛 的な 方 策 (「 技 術 」)に 焦点 を 当 てている。 その精神 病 理 学 理論は、 自我 の分 裂 に際して2つの「大 悲 劇 」という 観点 で 早 期 から始まる。それは、 次 の 2 つに関するものである。( ⅰ ) 自 分の 愛 が、 愛 する 人を 破壊 していると 感じ る 個 人と、( ⅱ )リ ビド ー対象を 遠 ざ ける 過程 で、 憎 んだ り、 憎 まれたりする 強 迫 に 陥 ってしまう 個 人である(1940: 2 6 )。とりわけ、 前期 と 後期 の 口 愛期 の 固 着 を 含む 様々な発達の 段階 や 局 面 における対象関係という 観点 から 病 理 学 的 状態 や 防衛 メカ ニズム が 検討 される : 「 口 愛期 の 前期 の 段階 で は、対象関係に関連して生 じ る情緒的な 葛藤 は、「 吸 うか、 吸 わないか」という 二 者 択 一の形、つまり「 愛 するか、 愛 さないか」 … 、 口 愛期 の 後期 を 特 徴 づける 葛藤 は、「 吸 うか、 噛 む か」という 二 者 択 一、すなわち、「 愛 するか、 憎 む か」と いう 二 者 択 一に 帰 着 する」(1941: 49)。 前 者は ス キゾ イ ド 状態 に 特 徴 的であり、 後 者は 抑 うつ 状態 に 特 徴 的である。 個 人にとっての 決 定的な 問題 はそれ ぞ れ、 愛 によって 破壊 することな く どのように 愛 すかと、 憎 し み によって 破壊 することな く どのように 愛 すかである。 ス キゾ イ ド の人の ジレ ン マ は 不 毛 さが 特 徴 的であり、 子どもは 自 分の 愛 が間 違 っていると 感じ る。対 照 的に、 抑 うつの人は、 ア ン ビバ レ ン ス や 罪悪 感 を 感じ やす く 、そこでは 憎 し み は 責 められる べ きだと 感じ られる 。 1941 年 に 改訂 された精神 病 理 学 は、分 裂ポ ジショ ンの経 過 の中で形成された 「 受 け入れられた」対象と、「 拒 絶 された」対象を 操 作する方 法 として理解され る4つの「 技 術 」に 基 づ く類 型 学 を 概 説している。 幼 児的 依 存の 段階 で 確立 され る対象関係の 性質 によって、 幼 児的 依 存と成 熟 した 依 存の間での 移 行段階 で4つ
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