IPA 地域間精神分析百科事典

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と 基礎 は F reudにあると 主 張する ⼈ もいるが( G reen 1999: 199-200 ; Abram 2013: 1)、 他 の ⼈ は、それでもなお 彼 のことを、 古 典 的理論とは 完 全 に 反対 の ⽴ 場 に位 置 付 けることを 断 固 として 主 張している(Rycro f t 1995: 19 7; F ulgencio 200 7; Loparic 2010)。 1 . W innicott は、 対 象関 係 論に「存在の連 続性 (continuity o f being)が 健康 である」とい う 正常 な発 達 モ デ ルを 提供 した(1988: 12 7 )。これは W innicott(195 4; 281)の精神分析の 基本 的な 仮 定であり、「 健康 とは … 、精神の 進 化的発展に関する連 続性 を意味しており、 健康 と は 個⼈ の 年 齢 に 応じ た 情緒 発 達 の 成 熟 である」とい う 考えである。したがって W innicott は、 関連する⼀連の存在論的 運 動(ontological movements)を ⾮ 常 に 多 くの発 達 上の 成果 として 説明 している。( ⅰ )「 主 観 的に思い 描 かれた 対 象との関 係性 から、 客 観 的に 認 識された 対 象 との関 係性へ 」(1960: 4 5)、( ⅱ ) 絶 対 的 依 存から、相 対 的 依 存を 経 て、 環 境 が 内 在化された ことを含意する ⾃⽴へ (1963b)、( ⅲ )パー ソ ナリティの 早期 の 未統 合の状 態 から、エ デ ィ プ ス構造 によって 特 徴 づ けられる 組織 化された 個⼈ のパー ソ ナリティ へ と。 未 熟 な 乳児 の 遺 伝 によって 伝 わった 能⼒ 、または 原 初的 創造性 は「単⼀の状 態 (unit status)」 を 達成 する ― すなわ ち 、 ⺟ 親 が 様 々 な 段階 で、 様 々 な⽅ 法 で 乳児 の関 係性 の ニ ー ズ を 満 たす ことを 条件 として、 乳児 は 対⼈ 関 係 を 築 くことがで き る 全 体 的な ⼈ 間になる。 乳児 と ⺟ 親 の 原 始 的な関 係性 は「 本 能 的に 派 ⽣したものとも、 本 能 的な 経 験 から⽣ じ る 対 象関 係 」とも ⾒ なされない(1952: 98)。むしろ、 ⺟ 親 が 提供 するものは、 本 能 的な ニ ー ズ の 満⾜ とは 独 ⽴ し たものとして考えられている。それは、 欲 動を 経 験 で き る ⾒込み や、 乳児 が 本 能 を使⽤で き るよ う になる ⾒込み を 与 えるのは、 環 境 である。「 ⾚ ん 坊 を存在し 始 めさせるのは 本 能 満⾜ ではない … ⾃⼰ による 本 能 の使⽤より 先 に 確 ⽴ され ね ばならないのは、 ⾃⼰ である」(196 7 : 116)。 W innicott は、 可能性 が 錯覚 として 実 現される 最 初の 万 能感 の 経 験 を 仮 定している。 ⺟ 親 の 適 応 が ほど 良 ければ、それは「 彼 ⼥ の 乳 房 が 乳児 の⼀ 部 であり … 、 乳児 ⾃⾝ の 創造 する 能 ⼒ に⼀ 致 する 外 的現 実 があり … 、 乳 房 は 乳児 の 愛 する 能⼒ から、あるいは( ⾔ わば) 必要性 に 迫 られて、 何度 も 何度 も 創造 される … 、とい う 錯覚 の 機 会 」を 提供 する(1951: 12- 4 )。 錯覚 において 具 現化された⼀ 致 、あるいは 重 なりが起こることで(Milner 1952 ; 19 77 を参 照 )、 乳児 が 創造 するものが(「 客 観 的に 認 識された 対 象」とい う より「 主 観 的 対 象」として)、 本 当 に存在するとい う感 覚 が、存在することの 継 続 とい う極 めて 重要 なものを 維 持 させ、さら には「移⾏ 対 象」と「移⾏現象」が 属 する 経 験領 域を 構成 する。 錯覚 は、その ゆ っくりとした 衰 退 も含む 情緒 的 過 程 、すなわ ち 、 錯覚 - 脱 錯覚 とい う ⼀ つ

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