IPA 地域間精神分析百科事典

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置かれている 私 の 立場 から、 患 者とコ ミュ ニ ケ ートすること」である(19 6 2b: 1 66 )。この 立場 、あるいはこの 状 況 においては、分析 家 は 患 者にとって主 観 的対 象であり、それは同 時 に、現実 検討 に 基 づいた 確 かな内的 設 定でもある。 「 修 正 された分析」に関して 言 えば、重要な 点 は、分析 家 が「 標 準 的な分析を 行 うというよりも む し ろ 、精神分析 家 として 働 いている」と 感じ ることである (19 6 2b: 1 68 )。Winnico tt (10 6 2b: 1 6 9; 強調点 を 追 加 )が 述べ ているように、「こ の 個 人が、その 環境 において精神分析を 望 んでいるという 診 断 が 得 られた 場合 は、 私 は精神分析を 行 う。意識的な分析 へ の 希 望 がない 場合 、 私 は 無 意識とのコ ミュ ニ ケ ー ショ ンを始めることさえあるかもしれない … 。 私 が 不 適 切 な ケ ー ス に出 く わした 場合 には、 私 は、その 特 別 な ケ ー ス の ニ ー ズ を満たすか、その ニ ー ズ を満 たすために 努 力 する精神分析 家へ と 変 わる」。さらに、Winnico tt は、 標 準 的な 精神分析 技 法 の 訓 練 を 受 けた分析 家 が、この 種 の分析的ではない 仕事 に最 適 であ ると主 張 した。 Winnico tt (19 6 2b: 1 6 9)は、 自 分の分析作 業 が 診 断 に 基 づいたものであり、そ の 診 断 基準 によって、 転移 関係の一 部 として 治療 経 過 の中で 退行 する 患 者と、 退 行 した 状態 でいて( 境 界例 や ス キゾ イ ド の) 抱 える 環境 を分析 設 定で求めている 患 者とを、 臨床 的に 区別 することができると 熱 心に 指 摘 した。 後 者にとっては、 「 マ ネ ジメ ント」が「全てのこと」になる 可 能性 があり(19 5 4: 2 7 9)、「重 度 の 患 者には、 新 たな機 会 の 望 み は ほ とんどない。 極 端 な 場合 、分析 家 は 患 者のとこ ろ へ 行 って、 積 極 的に 良 い 母親 になること、 患 者がかつて 期 待 することのできなか った経験を 提 供することが 必 要になるだ ろ う」(19 5 4: 2 8 1 - 2)。 早期 の 環境 の 失 敗 が、 完 全には 悲 惨 なものではなかった 場合 、Winnico tt は、 退行 を、意識的な 希 望 になりえるある 無 意識の 信 念 という 観点 から 扱 った。その 信 念 とは、「最初に 環境 が 失 敗 した 側面 が 再 現されるかもしれないが、 今 回 は 失 敗 する代わりに、 個 人が 受 け 継 いだ発達と成 熟 の 傾向 を 促進 する機 能 を 果 たすこ とに成 功 する」というものである(19 5 9: 12 8 )。しかしながら、それが実現する とすれば、 新 たになされた経験 へ の 信 頼 が 真 に ― つまり、「 十 分な 適 応 を 行 って いる」(19 5 4: 2 8 1) 設 定の中に ― 見 いだされる 必 要がある。ここでは、分析 家 が 何 をし、どのように 行 動するのかが、解 釈 によって 転移 の中で 患 者とコ ミュ ニ ケ ー ショ ンをとることに 劣 ら ず 重要である。 臨床 的 退行 とは、 組織 的な 退行 を意味

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