IPA 地域間精神分析百科事典

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質 、現実、そして分析 過程 についての 基本 的な 前概念 であった。

L oe w ald は Freud が欲動の理解について 二 つの 異 なった説を仮定したと 考 え た。

最初は、1920 年 以前 の、放 散 を求めるものとしての欲動である。 次 は1920 年 の 快 原 則 の 彼 岸 でエロ ス の 概念 を導入した 時 で、Freudは大 胆 にも、欲動の定義を 「満足ではな く より 複 雑 な心的体験を 築 く ために、そして 自己 と他者の間で 失 わ れた 元 の一体 化 を 再度 構 築 するために対象を 使 用し」もはや放 散 ではな くむ し ろ つながりを求めるものとして 変 えた(Mi t chell and B lac k , 199 5 , p .190)。Freud の欲動論の L oe w ald の 改訂 では Freud の 古 典 的な精神分析 概念 の 革新 的な 再 定 式 化 が 必 要であった。Freud にとって イ ド は 社会 的現実と衝 突 する 不 変 の生 物学 的な 力 であった一方で、 L oe w aldにとって イ ド は 恒 常 的な生 物学 的な 力 というよ りも む し ろ 適 応 の相互作用の 産 物 であった。心は 二次 的に相互作用するのではな く 、相互作用的であるのが 元来 の 性質 なのである。 L oe w aldは最初は 自己 と他者、 自我 と外的現実、あるいは 本能 と対象の 区別 は ないことを理論 化 した。つまりそこには 赤 ん 坊 と養育者両方から構成される 唯 一 無 二 の 統合 された 総 体がある。 彼 は「 心的そして動機の 力 として理解される 本能 が 元 々は 母 – 子(心的) ユ ニ ットであった心的 フィ ール ド の中での相互作用を 通 じ て 組織 されるようになる 」ことを 提 唱 した( L oe w ald, 19 7 1, p 11 8 )。 このよう な主 張 から、 カナ ダ における 仏 語 圏 の分析 家 たちは L oe w ald は 自 分を 自我 心理 学 者と み なし、 以下 に説明されるような「 第 3の モデ ル」の 考 え方の 例示 だと 考 えている。 Freudの 本能 論と 自我 心理 学 を一緒にすることで、 L oe w aldの 仕事 は「一者心 理 学 」と「 二 者心理 学 的対象関係心理 学 」の間に重要な 架 け 橋 を作ったと み なせ る( 別 に EG O P S YC H O L O G Y も 参照 のこと)。

V . A f . Sulli v an

典 型 的に アメ リ カ 的な対人関係論精神分析の 創 始者である H arr y S t ac k Sulli v an (19 5 3, 19 6 4)は 次 のようなことを 提 唱 した。「 1 . 安 全の 希 求と欲動の

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