IPA 地域間精神分析百科事典

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満足は分かち 難く 結 びついている。 2 .これらの 統合 された 力 は 展開 する対人間 の関係に 影響 を 与 え、また同 時 にそれらにも 影響 を 受 ける。3.「 自己 」と呼ばれ ているものは 早期 養育者についての内 省 的 評価 を 反映 したものの 集 合 にしか 過 ぎ ない。4. 不安 、すなわち 安 全 へ の 脅威 、は対人間の文脈でしか 起 こり 得 ない。 5 . 自己 は 不安 を 喚 起 するような 行 為 に 選択 的に 注目 しないことでその 統合 を 維 持する。 6 . 倫 理 観 の 礎 は子供が 親 の同意や 反 対を認識することから成る。 7 . セ ク シ ュ ア リ ティ は重要だが人生の中心的な動機づけの 力 ではない。 8 .精神 病 理は解 離 された 自己状態 の発 露 の 結 果 であり、その 表 現は 不安 を 起 こす。9. 治療 は 不安 の関係 性 の文脈に 焦点 づける べ きである。そして 10. 結 果 として 治療 者の 能 動的 な 参加 が 距 離 のある 匿 名 性 よりもより 望 ましい。 治療 の中で 逆転移 は主に情 報 を 与 え、導いて く れる 役割 を 担 う(A k h t ar 2009, p 1 5 1)」。Sulli v anは一般的に心 的内 界 の 過程 と 転移 の発生的な 根源 にあまり関心を 払 わないと み なされている。

V . B .現代の発 展

V . B a. K ernberg

19 7 0 年 代 後 半 、 O tt o F. K ernberg は Freud の構造論 モデ ルと H ar t mannの 自我 心理 学 の中で対象関係論の 別 の理論を発 展 させていた。 彼 の アプ ロー チ では、対 象関係は心の全ての構造( イ ド 、 自我 、 超 自我 )の 第 一の 決 定 因 子として「 本質 的な 自我 のまとめ 役 」( K ernberg, 19 76 , p . 3 8 )、そして「 自己 – 対象 – 情緒 ユ ニ ット」と み なされていた。 彼 の理論 統合 の最 終 段階 で、 K ernberg (2004, 201 5 ) は神経生 物学 的 側面 と対象関係論に 根 ざ した発達の精神分析理論の一般的な発 達 枠 を 提 唱 した。 彼 の一般的な 結 論は、 並 行 し相互に 影響 を 与 え 合 う神経生理 学 的情動と認 知 システ ム 、これらは最 終 的には 遺伝 因 子より 決 定されるのだが、と 重要な他者との内的および外的関係についての現実そして動機づけられた 歪 み の両方に関連する精神 力 動 システ ム を関連づけている。 この モデ ルでは( K ernberg, 2004, 2014, 201 5 , 201 6 )、神経生 物学 的発達と 関連する 領 域、つまり情動 システ ム の活 性化 、 自己 と他者の 区別 、心の理論と共 感 の発達、 自己 構造の発 展 、 メ ンタ ライ ゼ ー ショ ン 過程 の発達、は精神分析的対

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