IPA 地域間精神分析百科事典

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人(Freud, 19 5 0 [ 1 8 9 5 ] )、つまり 近く にいる他者に 依 存し、さらに、 空想 と 現実を 区別 することを 徐 々に 学 ぶ ために、養育者の 信 頼 性 、もの 思 い、 調 律 さ れた 反応 に 依 存する。養育者が 刺激 を 調 節 し、 刺激 障 壁 の機 能 を 担 うことで、 赤 ち ゃ んはやがて 性 欲や 攻撃 的な衝動を 自 分 自 身の 非 外 傷 的な 部 分として認識 できるようになる。このように、三つ 目 の モデ ルは、他の 二 つの モデ ルが発達 する 前 の、 各 個 人の人生のある 時 期 を 描 写 している。 第 3の モデ ルは理論的に は最 後 に発 見 されたものであるが、 個 人の人生における最初の 状 況 を 描 写 する ものである。「 狼 男 」(Freud,191 8 )は、 L uc y・ Rの 「 焦 げ た プディ ン グ 」 の主 観 的 感覚 とはまった く異 なる 種 類 の心的機 能 を明らかにしている。 指 を 失 ったという 幻 覚 において、 狼 男 はその欲動を 自 分 自 身のものとは認識せ ず 、 自 分の外 部 に 投影 している。 彼 の 幻 覚 は 「主 観 的」とは 言 えない。 彼 のその 後 の精神 病 エ ピ ソ ー ド は、 彼 が「神経 症 の」一者心理 学水準 の機 能 に達していな かったことをさらに 証 明している。 指 を 切 ることと 木 を 切 ることを 結 びつける 去 勢 不安 の 線 に沿った Freud の解 釈 は 何 の 影響 も 与 えなかった。すなわち欲動 について 言及 する 時 、 ウ ル フ マ ンは置き 換 えるような メ タ ファ ーの 豊 かさを理 解できる心的 装 置の 水準 に達していなかったのである。 無 意識の主体という 観点 から、神経 症 − 正常 の 範囲 にある人は「内的」な生活 を持っているといえるが、 ボ ー ダ ー ライ ンや精神 病 の 患 者は、 自 分の欲動も 空 想 も「内的」なものとして経験しない(しかし、外 部 の者から 見 れば、それら は内 側 から 来 るものである)。 願望 が成 就 されたものとして 知 覚 される一 次過 程 思 考 から、 願望 が 真 実と 非 真 実の 移 行 的な 空 間で経験されるようになるため には、一 時 的な 装 具やコン テイナ ーとしての ほ どよい 親 の 介 入が 必 要であるこ の モデ ルでは、人はそれ ぞ れは 二 者心理 学 的心的 加 工 によって人生を始める が、そこでは 赤 ん 坊 と 環境 が ユ ニ ットとして作動しており、相対的な一者とし ての内的な心的 自 律 性 が 確立 されるのは、 時 間をかけて両者がそれ ぞ れ相 当 な (たいていは 無 意識的な)心的作 業 を 行 った 後 でしか達成されない。 後 者は最 早期 の 二 者の出 会 いにおける原初的な 欠損 のため 誰 もが達成できる理 想 的で 普 遍 的な発達とは 見 なされない。 遡 及 的に 名 付けられた「 第 三の モデ ル」の理論 家 らにとって一者心理 学 的な心は達成、すなわち内的あるいは外的 ス ト レス の 下 で 失 われるかもしれない 揺 れ動 く ものである。

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