IPA 地域間精神分析百科事典

内容の⽬次に戻る

し、Reid (200 8 a, 200 8 b, 2010, 201 5 )は 移 行 性 と「 第 三 次 」心的 過程へ の接 近 に 言及 し、 Roussillon (1991 ; C asoni e t al, 2009; Daous t , 2003)は「 可 鍛 性 媒 体」、 L oe w ald (19 6 0, 19 7 0, 19 7 1, 19 7 2)は 親 と分析者の「 仲 介 」と「 統 合 的相互作用」に 言及 している。これらの 仕事 は、他の 多く の精神分析的 オ リ エン テ ー ショ ンと方 向 性 をともにしており、 フ ロ イ ト 自 身も同意していたであ ろ う、もう ひ とつの相関関係が明らかに 見 てとれる。つまり、精神的 健康 と 回 復 力 は、精神内構造間の最 適 な流動 性 と、人間関係における相対的な同一 化 の 自由 と関連しているという 結 論である。( 無 意識, 間主 観性 の 項目 も 参照 )。

V I. ラテ ン アメ リ カ の 貢 献

ラテ ン アメ リ カ 、 特 に ア ル ゼ ン チ ンにおける対象関係論に関わる 概念化 は、 K lein 派 の理論と、主に B ion、Mel tz er、そして Winnico tt におけるその発 展 と関連してきた。 K leinの理論の初 期 の 系 譜 は、 彼 女 が子どもの 遊 びを精神分析したことから 生まれた。 K lein は、子どもの 遊 びが 自 分の 感 情や 思 考 を体現していることを 観 察 した。おもち ゃ は、人々、 状 況 、 憎 し み の 感 情、 迫 害 的な 敵 、 愛 の 願 い、 セ クシ ュ ア リ ティ についての 乱 暴 な理論、身体が 押 し 潰 されることなどを代 弁 していた。 遊 びは、子どもにとって最初は 得 体の 知 れない 危険 なものと 感じ るに 違 いな いものをコントロールする 手段 であるだけではなかった。おもち ゃ そのものが 感 情を持っているかのように 扱 われた。それらは生きていて、 悩 んでおり、 死 んだり 破壊 しようとしたりした。この意味で、対象は外 界 を 捉 える 幻 想 の理解 と定義しうる。内的対象は、 記 憶 や意識的 空想 ( 白 昼 夢 )に み られうる「 表 象」ではない。対象は身体と心の実体を作り 上 げ ていると 感じ られる。 ( H inshel w ood 1991, pp . 7 1 -7 2)。

152

Made with FlippingBook - PDF hosting