IPA 地域間精神分析百科事典

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に 条件 付きで実体のないものだ。Freud にとって、対象関係とは、 新 たな心的 行 為 によって 自我 の構成が 開 始されては じ めて 想 定されるものなのである (Freud、1914)。 Et chego y en は、対象関係論を 英国学派 、とりわけ J ones、 K lein、 Fairbairn、Winnico tt 、 B alin t 、 P aula H eimannたちの 遺産 と み なしている。 これらの書き 手 に共 通 する 特 徴 は、対象関係の重要 性 と、 取 り入れと 投影 の 過 程 の 結 果 から生 じ る内的 世 界 を認めているとこ ろ である。 Et chego y enによれば、 J onesの論文「 強 迫 神経 症 における 憎 し み と 肛門 性 愛 」(1913)は、精神分析理論の歴史においてター ニ ン グポ イ ントとなった。 この論文では じ めて、 肛門 性愛 が 自 体 愛 の現れとしてではな く 、子どもをしつ け、 世話 をする 母親 との 愛 と 憎 し み の関係として理解された。 J onesの アファ ニ シス a p hanisis(欲 望 の 消失 )という 概念 に対象関係論の初 期 段階 の要 素 を 見 出すことができるが、それをより持 続 的に 展開 させたのは、Melanie K lein であり、その 何年 も 後 の Fairbairn である。 精神分析 過程 における 早期 対象関係の 探 求に関する H oracio Et chego y enの重 要な 貢 献は、 早期転移 を解 釈 を 必 要とする 転移 神経 症 の 特 殊 な形 態 として明ら かにしたことである。 早期転移 という 概念 を定義する際に重要となるのは、人 生の始まりからの対象関係の存在(M. K lein 19 55 )と 無 意識的 空想 という 概念 である。 早期 発達を 反映 する 早期転移 の存在は、 前言 語 段階 の 研究 を 可 能 にし うる。そこには 記 憶 を 記 銘 する 前 意識はな く 、Freud(1931, 1933)によって 記 述 された 前 エ ディプス期 が 含 まれる。このことは発達と 葛藤 の 早期 段階 の説明 を 試 み る理論の 検 証 に 道 を 開く 。

V I. Ab. L eon and Rebeca G rinberg : 精神分析 過程 における対象関係の様式

G rinberg 夫妻 (19 8 1)は、対象関係は「対象」(主体が関わる対象の 性質 ) と、その関わりが 起 こる「 空 間」と「 時 間」という 考 えとのつながりな く して は理解できないと 考 える。 著 者らは、 決 定された対象関係の機 能 の 質 は、主体 の心的、 感 情的 状態 、対象の 性質 、この関係が 起 こる 空 間と 時 間に 依 存すると

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