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理論的 お よ び 臨床 的な 思考 に世界中で ⼤ きな影 響 を 与 えた。彼⼥は ⼦ど もや 成 ⼈との 精神 分 析 の 経 験からこの概念を 発展 させた。その 源 流 は Freud の投影と 同⼀化の概念にある。 投影同⼀化 は乳児が望まない感情、対象、⾃⼰の部分を 取 り 除 くた め の 精神内 界の ⼿段 であり、これらの 側⾯ を⺟親の中に投影すること によって、 [ 無意識的 ] 空想の中で⺟親を⽀配する機制であると Klein は 考 えた。 Klein は乳児の投影が 悪 いものを排 除 し 良 いものを 保 持するものであると 考 え たた め 、投影同⼀化と 取 り⼊れ同⼀化は 密接 に 関 連していると 指摘 した。 Kleinはこの機能様式が 外 的現実と ⼼ 的現実の境界を 取 り 除 き、主体が 外 的⼈ 物 もしくは 内 的対象の 全 体または部分に対して―空想の中で―⼒を 得 ることを 可能にするという 事 実を 強調 した。 彼⼥は 投影同⼀化 が 分裂 、 否認 、 理想化 と 並 ぶ 原初的な防衛 ⼿段 の⼀つであり、 それらは 密接 に 関 連していると 考 えた。投影同⼀化の 病 理的な 使 ⽤ は、Freud (191 5 )が 記述 した⻑く苦痛を 伴 う 悲哀 の 過程 を 回避 できるという 錯覚 的な空想 の中に主体をと ど め 、その 結果 ― クラ イン 派 の 枠組み では― 妄 想 - 分裂 ポジ ショ ンから 抑 うつ ポジ ションへの 移⾏ を 妨げ ると彼⼥は 観察 した。 W il f red B ion は Klein の 「 防衛的な空想としての投影同⼀化 」 という概念を 拡 張 し、 ⺟親と乳児の間で実 際 に 起 こる 正常 かつ 前⾔ 語 的なコミュニケーション の 形態 としての機能を 含 め た。 B ionによれ ば 、投影同⼀化は乳児が⺟親と ⾏ う コミュニケーションの原初的な様式である。望まれず 考 えられない、時に ぞ っと する ほ ど恐 ろしい体験( ベ ー タ 要素)を乳児は⺟親の中に投影し、⺟親はそれら を 受容 して 「 コンテイン 」 し、⾃⾝の ア ル ファ 機能を 通 して―そこでは 「 もの想 い 」 が 重 要な要素となる― ベ ー タ 要素を ア ル ファ 要素に 変 形 する。乳児によって それが 再 取 り⼊れされると、原始的な 思考 の 構 築 に 利 ⽤ 可能となる。このように、 投影同⼀化は乳児の 考 える能⼒の 発達 の基 盤 となる。 Kleinと B ion の投影同⼀化に 関 する基本的な理論は IP Aの 3 つの地域す べ て で 発展 し、 精 緻 化されてきた。 ヨーロッパ 、特に 英国 では、 複 数 の分 析 家 が投影同⼀化の理 解 を 深 め てきた。 乳 幼 児 観察 の分 野 や⾃ 閉症 児の 臨床 では投影同⼀化の 前段 階 ( 附 着 同⼀化)が 記 述 され、 成 ⼈では 外 的対象の中に投影された 攻撃 的で 憎 し み に 満ち た 側⾯ によ って⾃⼰が 迫 害 されていると感 じ る 妄 想的 不 安 に投影同⼀化の分裂と投影のプ ロ セ スが ど のようにつながるのかに 光 が 当 てられた。投影同⼀化の概念の 臨床 的 有⽤ 性は 複 数 の 著 者によって 説 明 されて お り、これらのプロ セ スからもたら
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