IPA 地域間精神分析百科事典

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変形性「フィールド調節」( Ferro,2001 )、ウィニコット学派の「移行性」、複雑な現象とし ての共感に関する研究( Bolognini 2009 )がとりわけ関連がある。 Stefano Bolognini ( 2016 ) の最近の研究では、「正常の」コミュニケーションとしての投影同一化の使用を通じて二人 の人物が内面的な内容を交換できる機能的な前主観的水準として「精神相互性 interpsychic 」 はみなされている。( Bolognini 2016,p.110 )拡張された心的次元として、内面から経験され る二人の心の相互的な影響をそれは反映している。専門的な使用においては、分析的な対話 が精神相互的 interpsychic なものとして経験されるとき、「最初にコンテイニングにおいて、 次に象徴化において、新しくより特異的な効果」を得る。このことは多くの様々な現代の精 神分析学派の中で洗練されてきている。そこにはネオクライニアン、ネオビオニアンも含ま れる。彼らは精神相互性 interpsychic の研究において、投影同一化を受け取る準備性に重 点を置いている( Steiner 2011,Pick 2015 )。 この考えに関連するのは一連のフランスの間主体的な考えであり、謎めいたメッセージ を介した無意識のコミュニケーションにフォーカスし、侵害されていない患者の空間に注 目することで、患者の主体化、表象化、象徴機能の働きに、分析家の主体性や分析家の表象 能力および象徴能力を付け加えるのである。逆転移の文脈では、 Faimberg ( 1992 、 2005 、 2012 、 2013 、 2015 )の 脱中心化された臨床的傾聴としての逆転移ポジション countertransference position of de-centered clinical listening が一例としてあげられるか もしれない。これは 聞くことを聞くこと listening to listening としても知られており、患 者が聞いたことや言ったこと(逆もまた同じ)を分析家がいかに聞くかを注意深くモニター することからなり、患者の受容性や象徴表象の状態を理解するガイドとして多くの驚きに 導く。 Jaqueline Godfrind-Haber と Maurice Haber ( 2009 )の 共有され行為化された経験 shared acted experience という概念は、まだ言葉で象徴されていないが象徴的な能力を含 んでいる体現された「行動のイメージ」 ‘image of action’ という精神相互的 interpsychic な ものの一例を示している。可能性から現実化への、そして行動領域から思考領域への象徴的 な飛躍は、分析家の逆転移による参加を通して成し遂げられる。同様に、 Rene Roussillon(2009) の研究は患者の前言語的な歴史からの出来事 ― メッセージを患者の行動と 身体がいかに伝えているかを追跡している。転移 ― 逆転移の水準での精神相互的 interpsychic な伝達は「心的生活」の一部にそれらがなることを促進しうる。様々な角度か ら、 Green(2000) 、 Aulagnier(2015) 、 de Mijolla-Mellor(2015/2016) らもまた分析的「 共同 ‐再‐構成 」 co-re-construction や患者の早期トラウマの歴史化、解釈が意味を持つための 象徴能力の回復に必要不可欠なものとして 無意識的コミュニケーションの精神相互性 interpsychic および/もしくは間主体的な流れ に分析家がすぐれた調律をすることを強調 している。

アメリカや世界の至る所で、乳幼児研究、システム論、自己心理学に背景をもつ分析家に よって二者心理学 two-person 、インターシステム論 inter-systemic view もまた使用されて

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