IPA 地域間精神分析百科事典

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同 じ ようにS k el t on (200 6 ) は、対象関係論は 第 一に「関係 性 についての最も内 的な innermos t空想 」と関連していると 提言 しているが、一方で、 H inshel w ood (1991) は クライ ン 派 のものも 非クライ ン 派 のものも 含 めて対象関係的 アプ ロー チ の 概念 を 広く 定義することを 考慮 し、「対象の 状態 と 性格 」に 本質 的に 焦点 を 当 てた。精神分析的文 化 の 混 交を 示 す最 近 の 例 では、 K ernberg は 以下 の定義を De Mi j ollaの精神分析 国 際辞 典 (2013, p . 11 75 ) に 寄稿 している。「精神分析 的対象関係論は最 早期 の 二 者関係的対象関係の内在 化 、構造 化 、 臨床 的 再 活 性化 ( 転移 、 逆転移 における)をその動機についての(構造的、 臨床 的、発生論的お よび発達的)定式 化 の中心に置 く 理 輪 として定義されるだ ろ う。」

上記 の 多 様 性 は定義の 幅 によって分 類 することができる。

1 .最も 広 い意味では、精神分析的対象関係論は、対人関係の 性質 についての 精神分析的 研究 、および、現在の対人関係とパー ソナ リ ティ 全体の 組織化 や機 能 状態 という文脈で他者との関係が内在 化 されたものに 由来 する精神内 界 的構造 の発達についての精神分析的 研究 をさす。この最も 広 い文脈では、対象関係論は 精神内 界 的 領 域と対人関係的 領 域の関係のあら ゆ るパターンを 含む だ ろ う。この 観点 からいえば、一般理論としての精神分析は実際に対象関係論なのである。 従 って、 広く 定義すれば、精神分析的対象関係論は中間的な 立場 として 言及 されて きた。つまり、 メ タサ イ コロ ジ ーと 臨床 「 言 語」の間の「中間の」 言 語として 言 及 されてきた(Ma y man19 6 3; Ra p a p or t and G ill, 19 5 9)。北米ではScha f er (19 68 ) とModell (19 68 )によって、この 広 い 概念化 が 使 われ、 自我 心理 学 と 統合 された。 2 .より 限 定された「中間」の定義では、対象関係論は、「 元 の乳児 -母親 関係 の 反映 としての 二 者関係的、あるいは 二極 的な精神内 界 的 表 象( 自己イメ ー ジ と 対象 イメ ー ジ )が 徐 々に形成されることと、それが 二 者関係的、三者関係的、そ して 複数 関係的な内的、外的対人関係に 後 に発 展 してい く こと」について 述べ て いる。( K ernberg, 19 77 , p 57 ) 多く の ヴァ リエー ショ ンの中で 核 になる共 通部 分は、 特 定の情緒的文脈において 確立 された 自己イメ ー ジ および対象 イメ ー ジ の 各単 位内において、内在 化 が、 本質 的に 二 者関係的で 二極 的な 性質 をもつことで ある。この アプ ロー チ が歴史的に 依拠 しているのは 英国学派 では Melanie K lein (1934, 1940, 194 6 ), Fairbairn (19 5 2), Winnico tt (19 55 , 19 58 , 19 6 0a,b, 19 6 3), B o w lb y (19 6 9)であり、 自我 心理 学 的 アプ ロー チ でいえば E ri k son (19 56 ),

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