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象の 影 が 自我 の 上 に 落 ちた」(191 7 : 24 8- 49)。 『喪 と メラ ンコリー 』 で 描 写 され た 過程 — すなわち、対象 喪失 の 後 に生 じ る、より 早期 の対象関係を 基 盤 とした 自 我 の 変 化 — は 『集団 心理 学 と 自我 の分析 』 (1921)の中で 正常 心理 学 の現象として 一般 化 される。これらの 概念 的発 展 があったにもかかわら ず 、対象関係の 概念 は 心的 装 置の 第二 理論の中で、 第 一理論( 局所 論的)の 時 以上 に説明的 価 値 を 与 え られることはなかった。 それにもかかわら ず 、対象関係の発達論的 含 意は、「 自我 の内 側 に対象を 打 ち 立 てること」(1923: 29)の 言及 がある 『 自我 とエ ス 』 の中でさらに 練 り 上 げ られ る。 自我 と 超 自我 の構造 化 は一連の対象 喪失 にかかっている。こうして Freud は 「 自我 の 性格 は 打 ち 捨 てられた対象 備給 の 沈殿 物 であり、対象 選択 の歴史を 含み こんでいる」(1923: 29)という仮説を 展開 する。発達の歴史、すなわち対象関係 の 遺産 をもつ構造は体 質 的に 決 定された欲動とその 運命 や 変 形とともに 含 まれ る。心の構造 化 に対してエ ディプス コン プレ ッ クス がもつ 影響 は、 従 って、 打 ち 捨 てられた 備給 に代わる同一 化 という 観点 から 捉 えられる。
Ⅱ . C . S á ndor Ferenc z iと O tt o Ran k における 起 源
対象は主体によって欲動の満足 / 不 満足の経験から作り出されるということ になっている 古 典 的欲動論における対象関係の 問題 に関してつけ 加 えると、 S á ndor Ferenc z i は、(i)対象関係は人生の最初から存在すること、と(ii)対象 関係は心の最も 深 い構造の中に 見 いだされる 可 能性 があることを明 示 的に認め た最初の分析 家 の ひ とりであった。( H a y nal 19 88 ; K ohon 19 86 ) 退行 した 患 者の 分析に 基 づいた 彼 の 臨床 技 法へ の 独創 的な 貢 献とともに、Ferenc z i が 早期 の 環 境 の 失 敗 と 幼 児 期 の外 傷 を 強調 したことは、 K lein、Fairbairn、 B alin t 、Winnico tt といった 英国学派 における対象関係論の発 展 の 背景 を形成している。( 逆転移 、 間主 観性 の 項目 も 参照 ) O tt o Ran k の 著 書 『 発生心理 学 の一般的 概 要 G rund z uege einer gene t ischen P s y chologie [ G eneral ou t line o f a gene t ic p s y cholog y ] 』 (192 7 ) は 「対象 関係の 起 源 G enesis o f t he ob j ec t rela t ion」と 題 された 章 で「 プレ エ ディ パ ル」の 概念 を導入し、そうすることでエ ディプス コン プレ ッ クス より 前 の発達 段
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