IPA 地域間精神分析百科事典

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p s y che の成り 立 ちについての 問 いを 提起 する。内的 因 子と外的 因 子 — すなわち、 生 物学 的要 素 と 個 人的要 素 の 複合 体と 早期 の 環境 の 性質 — の バ ラ ン ス は K leinの 著 作ではそれ ぞ れの 箇所 で 異 なって 表 現されている。 K lein は議論の中で一 貫 して、「 母親 の存在 へ の生 来 的 無 意識的 気 づき」の 状 態 を仮定している(19 5 9: 24 8 )。すなわち、対象は欲動に内在しているものと み なされ、その意味で、対象は外的対象から、 特 に 赤 ん 坊 の実際の 母親 から 比較 的 自 律 していると み なされる。 本能 的 知 識あるいは生 得 的な 前概念 は「乳児が最初 に 母親 と関係をもつための 土台 」として理解される。欲動の最初の対象が、実際 の関係 上 の出 来 事 というよりも、実際には欲動 自 身の 延 長であるという 考 えは、 ふ たつの 点 で 支 持される。 K leinはま ず 、リ ビド ー的欲 望 は 常 に 何 かに対しての 欲 望 である(欲動の意 図 性 )ということを仮定し、 次 に、対象関係は 取 り入れー 投影 の精神内的 メカ ニズム によって 特異 的に 確立 されるとうことを仮定する。 「 投影 によって、すなわち、リ ビド ーと 攻撃 性 を外 向 きのものに 変 え、対象をそ れらで満たすことによって、乳児の最初の対象関係が生 じ る。これは、 私 の 考 え では、対象の 備給 の 根 底 にある 過程 である。 取 り入れの 過程 のおか げ で、この最 初の対象は同 時 に 自己 の中に 取 り 込 まれる」(19 5 2b: 58 )。 原始的な 無 意識的 空想 の 万 能 的 性質 が意味するのは、 早期 の分 裂 妄 想 ポ ジシ ョ ンの中で、外的対象は最初、 取 り入れられた対象と経験的に 区別 できないとい うことである。その一方で、 投影 は 自己 や 本能 の 世 界 の一 部 が実際に 失 われたか のように 感じ られる 結 果 をもたらす。 自己 の 部 分が外的対象の中に位置付けられ る 過度 な 投影 同一 化 では 離 人 感 や 断片 化 の 感覚 が 結 果 として生 じ ることがある。 「内的対象」という 概念 はこのように、 物質 的に存在する対象であるという原始 的な 信 念 (Mone y-Ky rle 19 68 )や具象的で現実のものとして対象を経験すること について 使 用される。そして、実際の両 親 を 含 めた実際の人々は、具象的に 想 像 されたこの内的 世 界 を 背景 として 役割 や同一 性 があてがわれており、その内的 世 界 では 普遍 的で 先 験的な イ マ ー ゴ から対象関係が形成されている。もっとも 注目 す べ きは、子供の 超 自我 は、「実 物 の両 親 から 提 供される イメ ー ジ とは一 致 しし ないが、子供が 自 身の中に 取 り 込 んだ 想 像 上 の イメ ー ジ や両 親 の イ マ ー ゴ から 創 造される」、と K lein (1933: 249)が 述べ ていることである。 K leinは 取 り入れら れた対象、あるいは、内的対象の精神内的 起 源 について 早く からある 考 えに 至 っ ていた。すなわち、 1 9 2 3年 から始まったRi t aとの分析の 詳 しい説明の中で

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