IPA 地域間精神分析百科事典

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かりやすく⾔い換えると、患者のエナクトメントは、それが分析家によって受け⽌められ、 分析家のコントロール下にある領域に何か有毒なものを患者が持ち込むことを許容するよ うに使⽤されるならば、投影や取⼊れによって扱われ、患者の⾃我に奉仕するものになる可 能性がある。

そういうわけで、北⽶のエナクトメント概念は Freud と対象関係論に深いルーツを持 つ。

Ⅲ B ラテンアメリカの概念の進展 より広い⽂脈と概念的前駆体

ラテンアメリカの精神分析的思考は、分析的⼆者の間で起きているものを考慮する分析 的プロセスについて深い深遠な研究を発展させた 1940 年代、1950 年代の先駆者たちによ って影響された。Racker(1948,1988)は患者の内的対象と分析家が同⼀化した結果起こる 「補⾜的逆転移」について研究した。Grinberg(1957,1962)は「投影逆同⼀化」について 描写した。それは、分析家が患者の投影同⼀化に⽀配され、そのことに気付かずに反応して しまうことを許容する状況である。後に Grinberg は⾃分の考えのある側⾯を修正し、分析 的⼆者の間で起きていることへの理解に対するこの概念の有⽤性を⽰した。Racker も Grinberg もエナクトメントの実際現⾏の考えとよく似た状況を描写した。これらの著者や 他の著者はWillyおよびMadeleine Barangerに影響した。彼らはクライン派の考えを基礎 として 分析的フィールド analytic field を描写した(Baranger & Baranger,1961- 62,1969,1980)。 彼らの描く分析的フィールドは、同じ⼒動的プロセスに参加するふたりの⼈物(分析家と 患者)を含むような場所/時間である。もう⼀⽅に⾔及せずにはどちらのことも理解できな い。両者は ⼆者の無意識的幻想 と名付けられる構造を構成し、それはそれぞれの参加者の側 ⾯の合計以上のものである。この⽂脈において、Barangers 夫妻は 砦 とりで bastions と名付けられ る⼀連のフィールドの⽣成物を描写した。それは患者の部分と分析家の部分が防衛的な構 造の中で絡み合い、巻き込まれたときに起きる。分析的なプロセスが順調に進み続けている ように思えるにもかかわらず、砦は静的で異質なものとして出現するかもしれないし、もし くは、すべてのフィールドを⽀配し、病理的になるかもしれない。とりでの考えは 慢性エナ クトメントchronic enactment (Cassorla,2005)の考えに近い。 こうした発展のため、ラテンアメリカの精神分析⽂化はエナクトメント概念を急速に吸 収した。象徴化プロセスについてのラテンアメリカの貢献の属するといった現代の研究に よ っ て 概 念 的 な 明 確 化 が さ ら に 促 進 さ れ た 。( Cassorla,2001,2005,2009;Sanchez

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