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一般的な メ タサ イ コロ ジ ーの 枠組み の中で — 表 層 的には対象 選択 と欲動の満足 / 欲求 不 満という 特異 的な 観点 から 捉 えられる。 古 典 理論では 快 が対象 選択 へ の 道 を 指 し 示 す(Freud 1909: 10 8 )。そして、たいていの 箇所 では、 何 が欲動を満足 させ、 何 が欲求 不 満にさせるのかを 強調 することによって、Freud は対象関係に ついての生 物学 的 視 点 を 特 権 化 し、人間の経験のエネルギー論的かつ経 済 論的 次 元 を 優先 した。 対象関係の 本能 的な 起 源 の 強調 は、対象が 本能 と 性感 帯という構成要 素 の 性 器 愛 的 組織化 の 結 果 として み なされていることを意味している。Freud にとって、 対象関係は欲動の機 能以上 のものではな く 、そこでは 刺激 は対象関係的な文脈 へ の 言及 なしに説明できるのである。 『 性 欲論三 編』 からのさき ほ どの一 節 と 次 の 叙 述 を 比較 されたい。「もし 性 的に 興奮 していない人 物 における 性感 帯( 例 えば 女 性 の乳 房 の 皮膚 )が触られることによって 刺激 されるならば、その接触が 快楽 の 感覚 を生 み 出す ・・ それは同 時 に、 快 感 の 増加 を要求する 性 的 興奮 を 引 き 起 こ すために他の 何 よりもよ く 計算 されている」(190 5 : 210)。他の 箇所 と同 じ よう に、ここでも、 フ ロ イディア ンの解 釈 においては、 興奮 は対人関係的な文脈 へ の 言及 なしに説明 可 能 なのである。 対象関係ではないにしても、対象の 概念 は、 第二 局所 論または構造論 モデ ルに おいて 特 定の 変 化 をこう む っている。内 因 性 に生 じ て く る生 物学 的に 決 定された 欲動は Freud にとって 依 然 として 根 底 的な動機付け原理であるが、一方で、同 時 に、 早期 の関係により重 点 がおかれている。つまり、その中で欲動の 複数 の要求 が 組織化 され、実現される 早期 の関係により重 点 がおかれる。対象関係の 問題 は 今 や構造論 モデ ルの定式 化 を 予 感 させる一連の 概念 に 結 びつけられる。すなわち、 ナ ル シシ ズム (1914)、 『快 原理の 彼 岸』 (1920)で導入された 本能 の 二元性 、 本能 の 融 合 、 本能 の 昇華 、そして同一 化 (1921)などである。 心的構造に 影響 を 及 ぼ す対象の 能力 は、この 概念 的な発 展 を 背景 にして、 『喪 と メラ ンコリー 』 (191 7 a)で 述べ られている。「対象 選択 ・・ はある 時 には存在し た。その 後 、 愛 する人 物 に 由来 する実際の 侮辱 や 落 胆 のために、対象関係は 打 ち 砕 かれた。 ・・自由 になったリ ビド ーは 別 の対象に置き 換 えられなかった。それ は 自我 の内 側 に 撤収 された。 ・・ それは 非特異 的に用いられることはな く 、 自我 が 打 ち 捨 てたれた対象との同一 化 を 確立 するのに 奉 仕 した。このようにして、対
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